Baptême(洗礼式)に招かれて~ 葡萄畑のあるブローニュの森の隠れ家

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パッシーの教会から車で10分。
ブローニュの森の中にひっそりと佇むその邸宅は、“パリ・バガテルの葡萄畑”というその名の通り、パリで唯一葡萄畑を栽培している個人宅である。
http://www.lavignedeparisbagatelle.com/

蔦が絡まる鉄格子の門をくぐって石畳を渡ると、クリーム色の石造りの建物から女主人と制服を着た使用人が迎え出てきてくれた。
吹きぬけの玄関ホールには、既にイタリア人の先着組みがシャンペングラスを片手にアペリティフを楽しんでいる。
さすがは、イタリア人。アペリティフには、生ハムの盛り合わせや、生野菜のディップ、乾き物などが、綺麗にテーブルに並べられていたのだが、私達がそこにたどり着く頃には、生ハムの皿だけが綺麗になくなっていた。
主役の赤ちゃんは?というと、安らかにお眠り。。。母親である友人も、ここぞとばかりに揺り篭を人気の少ない荷物置き場(?)に置いてアペリティフに合流。招待客一人ひとりを回って挨拶をはじめた。
この様子を横で観察していると、改めてこの友人の達者な語学力に敬意を表せずにはいられない。前から知ってはいたが、彼女、ポリグロットなのである。彼女自身はポーランド人なので、自分の家族にはもちろんポーランド語で話すが、ご主人方のイタリア人ファミリーには、イタリア語、ドイツから来た友人にはドイツ語、そして私達夫婦にはフランス語と、人によってクルクルと言語を変えて話をする。しかも混ざらない。
そんな彼女の多言語通訳のお陰で、最初は国籍ごとに固まっていた(?)我々招待客も、直ぐに打ち解けて親しくなった。


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食事は、サロンと一続きになったダイニングルームで行われた。テーブルの上には、友人の筆跡でそれぞれの招待客の名前が書かれたカードが置いてある。
招待客の間で「言葉の壁」という問題があるだけに、席順を決めるのに、友人夫妻はかなり頭を悩ましたに違いない。

確かに、席順が決まった長テーブルの食事は、概ね息苦しくなりがちである。
立食式と違って一度着席してしまうと自由に移動できないし、全く言葉の通じない人に挟まれたら食事の間中、気詰まりな思いをする。

しかし、計算され尽くした席順と配慮の行き届いた演出のお陰で、会食は言葉の壁を越えて和やかに、そして自然な雰囲気の中で進められた。
この会がとても居心地のよいものになったのには、もう一つ、この建物、というか食堂の構造がととても解放的で、室内にいながら光と緑を沢山感じられるからではないだろうか。
サロンと一続きになった食堂の窓は食事の間も常に開け放たれていて、庭に直接おりられるようになっている。2時間以上にわたる食事の間も、気分の赴くままに席を立って庭を散歩できる。レストランではなく、個人の邸宅だからこそ味わえる開放感である。

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「お庭でいかがですか?」
給仕の人が気を利かせて、食後のコーヒーを庭でとるよう勧めてくれた。
サロンのソファーで寛ぐ人、コーヒーカップを持って庭に移動人、各自が皆、すきずきに会食の最後のひと時を楽しんだ。
庭におりると、右手にこの邸宅自慢の葡萄畑が目に入る。小規模ながらもちゃんと収穫が行われ、そこで採れた葡萄はワインに加工されるのだそうだ。


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主役の赤ちゃんは会食の間、泣き声もあげず終始ごきげん。色々な人に代わる代わる抱っこされても、荷物置場に揺り篭ごと置きっぱなしにされても、全く余裕である。
彼女が大きくなって、結婚式を挙げる年頃になったら、きっとこの“パリ・バガテルのブドウ畑”で洗礼式のお祝いをしたことを両親から聞かされるだろう。そして、第二の人生の門出をもう一度ここで祝うことになるかもしれない。

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2008年06月15日