フランスにみる少子化対策~第8話 もはや“普通”の高齢出産と婚姻外出産

週末、天気のいい日に公園や街を散歩していると、「出生率2(※2006年2.01/ 2007年1.98)という数字の迫力を間近に体験できる。
歩道はベビーカーで溢れかえり、芝生や砂場は足元もおぼつかない小さい子供達で埋め尽くされる。
しかし彼らの保護者に目を向けると、必ずしも若くはない。どう見ても、大多数が30代半ばから40代後半ではないか、との印象をうける。 白髪の紳士が子供と遊んでいるのを見て、孫のおもりをしているのかな?と思いきや、子供が「パパ!」と呼んでいるのに驚かされたりする。

この光景を見て、誰もが「高齢出産」という言葉を頭に浮かべるのではないだろうか。
仏国立統計所の発表によると、2007年の平均出産年齢は29.8歳。新生児の21.1%が35歳以上の女性から誕生したというのだから、この印象もまんざら外れていない。

女性が職を持つことが当たり前とされているフランスでは、子育てと仕事が両立しやすいような社会的制度と文化があることは前に述べた。しかし、それらは当然、健康的・年齢的限界という医学的なハンディーまでは解決できない。
そこでフランスは、「子供が欲しいけれど授からない」という女性達に、医療面でも全面的な支援策を用意している。

フランスでは妊娠、出産に関する費用は全額国負担であることは周知のとおりだが、いわゆる「不妊治療」についても、一定の手続きさえ踏めば、100%保険で受けられる。
例えば、日本では保険のきかない「体外受精」については、42歳まで年4回を限度として保険で行える。もちろん保険でカバーされるのは、診察費・手術費の他、エコグラフィー、注射、薬、血液検査など全ての付随的な医療費も含まれている。
この不妊治療の究極の方法である「体外受精」も、健康保険証(仏語ではCarte Vitaleという)を持っている人なら特別な条件無しに等しく保険で行うことが出来るので、不妊に悩む女性にとっては力強い。
そしてこのことが、フランスの出生率の重要な引き上げ要因の一つとなっていることは言うまでもない。

高い出生率に関して、フランスならではの面白い特徴がある。
2007年、フランスでは初めて未婚カップルの間に生まれた子供の割合(50.5%)が既婚カップルにできた子供の割合を上回ったという。
この「未婚カップル」の内訳は、①普通のカップルだが、本人達の方針で「結婚しない」と決めているパターン ②片方あるいは、双方に既に配偶者がいるため(いわゆる不倫)結婚せずに子供を作ったカップル、③同性カップル同士で子供を人工授精で作ったパターン、などである。

そして、未婚カップルの間の子供がこれほど多いのは、この国では「両親が結婚していない」という事実が子供にとって、もはやハンディーではなくなった (戸籍や相続面における婚外子差別は撤廃されている) だけでなく、物理的、社会的にも「結婚」という制度が子供を持つための「必要条件」ではなくなったからである。

(つづきます)

2008年05月25日