フランスに見る少子化対策~第7話 よいヌリス(ナニー)に巡り合うのは難しい?

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昼下がりの公園の典型的な風景~子供達を遊ばせながら、世間話に花を咲かせるヌリス達。アフリカ系や東欧系の女性が多い。


ナニーつまりヌリスに毎日自宅まで通ってもらい、一日中子供を見てもらうことは、経済的に余裕さえあれば供働きの家庭にとってはとても便利な託児法である。
日本と違い、中間管理職クラス以上の家庭になれば、ヌリスを雇うことはそんなに珍しいことではない。ただ、最低でも1ヶ月に、(日本円に換算して)40万円以上かかるので、実際は、超高所得家庭でない限り、3家庭くらいで一人のヌリスをシェアすることが殆どである。

しかし、ヌリスは面識のない赤の他人だけに、雇用者家庭との相性、能力の面でかなり当たり外れがあり、ピッタリ気に入ったヌリスに出会うのはそう簡単でないらしい。
例えば、私のフランス人の義姉は“英国上流社会流”保育をスペシャリティーとするヌリスを雇ったが、あまりにもそのメソッドが厳しく、マニアックだったので(ex.親が子供の頬にチュッとむやみにキスをするのを禁止)1週間で辞めてもらったという。

逆に、あまりにも怠慢なヌリスにしか巡り合わず、2年間に3人以上変えた友人もいる。 この友人からクビにされたヌリスは、雇われた最初の数週間は真面目であった。しかし慣れてくるにつれ、遅刻や当日朝のキャンセルが頻繁になり、挙句の果てには育児の合間に毎日のように長電話をしたり、勝手に彼氏や友達を頻繁に家に呼び入れたりするようになったという。
しかしこの友人、4人目にしてやっと理想のヌリスに出会うことができた。
なんと“男性”である。
さんざん“女性のヌリス”にイライラさせられた彼女曰く;
「ヌリスで失敗しないためには、男の子を雇うことよ! 男の子を雇ってから、今までヌリスに抱いていた不満が一切解消されたわ。 彼はまだ20代前半だったのに、それはそれはプロ意識が高くて、無遅刻無欠勤、言われたことややるべきことを淡々と丁寧にこなしてくれた。ヌリスは何も女性に限定された仕事ではないと初めて実感したわ。」

        *   *   *
ところで、アメリカ(最近日本でも)では家政婦や親による「幼児虐待」がかなり問題になっているようであるが、フランスでそれが社会問題としてとり扱われたのをまず聞いたことが無い。私の交友範囲の中の反応も「それってアメリカでよくあるらしいわね」と、まったく他人事である。

「幼児虐待」の主な原因が保護者の“育児ストレス”から来るのだとすれば、確かにフランスではこの問題が発生する条件が少ないのかもしれない。
まず、母親たちは育児ノイローゼになる暇もなく、出産後数ヶ月ですぐ仕事場に復帰する。
子育てのシンドイ部分は外の人任せだから、育児でストレスが溜まって自分がコントロール出来なくなるまで追い詰められたりはしない。
むしろ、限られた時間にしか会えないわが子に「厳しく出来ない」ため、極度な甘やかしとしつけの不十分さが逆に社会問題として取り上げられることがある。
ヌリスや家政婦についても、ラテンというお国柄かもしれないが、かなりマイペース、あるいは割り切っていて、ストレスやイライラを感じるほど自分を追い詰めて仕事をしない。

(続きます)

2008年05月18日