フランスに見る少子化対策~第6話 保育園が無理でも...

この「子供の社会化」という概念、今、フランスで特に大切にされている概念である。
親も、子供の社会性が少しでも身につくようにと、積極的に集団生活が予定されている保
育園に預けようとする。

残念ながら子供を保育園に入れられなかった場合、よく使われる手段が「保育ママ」制度。
子育てがひと段落した女性の家に子供を預けるというシステムである。
保育ママは、最大3人まで子供を預かれる。
保育ママには、保育士に要求されるような試験や看護士資格は必要ないが、自治体からの認定を受け、子供の受け入れ環境などについて公的機関からコントロールを受ける。
国からの減税措置や託児補助を併せると、実質負担は月200~250€くらい。
費用的にも手ごろで、少数ながらも他の子供たちとの交流もある、ということで、現在フランスでもっともよく使われている託児法のようだ。

しかし「保育ママ」も今となっては保育園同様、深刻な空き不足に見舞われている。
そこで、最後の手段は、「ナニー」の雇用。
自宅にきて子供の面倒を見る人を雇用することである。フランス語では「ヌリス(愛称ヌヌ)」という。

これはとても高くつく。
フランスの最低賃金が自給8.4€なので、仮にこの最低賃金で一日10時間ヌリスに見て貰うとしても、一月の費用は次のようになる。
まず、ヌリスの額面給与は8.4€×10(h)×20(日)=1680€
これに、雇用者負担の社会保険料(被雇用者給与額面の約50%)をたすと、
1680€+840€=2520€(日本円で約428,400円)という金額になってしまう。
普通の一般家庭では、減税措置や補助金をうけてもかなり負担になる金額である。
そこで、同じ年端の子供を持つ複数の家庭がヌリスをシェアしたりする(各家庭が交代でヌリスに来てもらう)。
例えば3世帯で分ければ費用も3分の1になるから、かなりの節約になる。

「ナニーを雇っている」というと、日本ではどちらかというと特殊な家庭のイメージがあるのだが、ここフランスでは、どちらかが中間管理職以上の共稼ぎの家庭では普通にみられることである。

家庭にもよるが、馬が合えば、生まれて数ヶ月から10歳くらいになるまで子供の面倒を見てもらうヌリス。
子供にとっては第二の母親のような存在であるし、彼女が子供に与える影響も大きい。

ただ、ヌリスを雇うということは、家庭の中に「他人」を長期間入れるということである。
そしてそれ故に問題やトラブルも絶えないようだ。

(続きます)

2008年05月10日