フランスに見る少子化対策~第5話 激戦!保育園

まず職場復帰したい母親達の夢は、「保育園」に子供を預けること。

なぜ、「夢」と大げさにいうかというと、それだけ預けられる可能性が少ないということと、親にも子供にとっても預けられた場合のメリットがとても大きく、ラッキーだと考えられているからである。

パリのような大都市になると、保育園の数が希望者に対して圧倒的に少なく、子供を預けられる人は10%に満たないという。
保育園には生後3ヶ月にならないと受け入れてもらえないが、なにせ誰もが定員に空きが出来るのを虎視眈々と狙っている。
パリでは妊娠がわかったら直ぐに希望の保育園に申し込み手続きをする、というのが常識となっている。

でも、どうしてそんなに保育園がいいのか。
公立・民間に拘わらず認可保育園は、地域にもよるが、大体午前7時~午後7時くらいまで子どもを預かってくれる。また、ほかの託児手段(ベビーシッターの雇用等)に比べて費用がかからない(所得や子供の数に応じて一日3ユーロ~29ユーロ)という点も魅力である。

しかしもっと本質的な理由がある。
保育園が、保育のプロフェッショナル集団だということだ。
そして、そのプロに子供を託することは、彼らの成長・発達にとてもプラスになる、という親の熱い期待がこめられている。

保育士は、既に看護士或いは助産婦の資格保有者であることが前提である。
更に保育士の資格を取るためには、その後に理論、実技を含めて約1500時間に渡る専門教育を受け、国家から免許を受けなければならない。この専門教育を受けるには、国の選抜試験に合格する必要がある。 
また、保育士のほかに、保育補助員、臨床心理士、さらに遊びや玩具などを監督して子供達の成長をサポートする幼児教育者という専門職員も存在する(もちろん彼らは皆、有国家資格者である)。

そんな彼らが掲げる究極の目的、それは「子供の社会化」である。
母親との関係を再現したり母親の不在を埋めたりするものでは決してない。
彼らは保育のプロという独特の視点で、子供が一人の人間として母親がいなくても他の大人や子供達と十分にコミュニケーションできること、精神的な自立を促すことを主眼に保育をする。
だから、母親と離れて泣きじゃくる子供を抱き上げたり、赤ちゃん言葉で話しかけるということはしない。その代わり、「目を見ながらしっかり話して説得する」という。
子供の動作や遊びにも直ぐに介入して手助けすることはせず、子供が一人で学び、経験するよう監督している、というスタンスのようだ。

(つづきます)

2008年05月01日