フランスに見る少子化対策 ~ 第3話 結婚式でも発せられる「無職」という言葉

市役所で行われる民事婚。 主催者である市の職員が新郎新婦を祝福する。
フランスと母国日本の文化の差を決定的に感じたのは、市役所で行われる結婚式(民事婚といって、フランスでは結婚式を市役所で行うことが義務付けられている。)にはじめて招待された時だった。
結婚の儀にあたり、三色国旗のたすきをかけた市長或いは市の担当職員が、新郎新婦のプロフィールを招待客の集まる広間で朗々と読み上げる。
「新郎○○、△国籍、営業課長、××年×月×日、△国△△県で、父○○、母○○の下に生まれる」
「新婦○○、△国籍、無職、××年×月×日△△県で、父○○、母○○の下に生まれる...」
なんと、結婚式というおめでたい席でも“無職”という言葉は国籍と同様、容赦なく発せられるのである。
こんなふうに、ことあるごとに「あなたは何屋ですか?」「何をして生きている人ですか?」と問われる社会で生きていれば、よほど特殊な環境にいる人を除いて「自分は何屋なんだろう」と、いやでも自問せざるを得なくなるし、「自分は何屋でもない」ということになると、何となく居心地の悪いものだ。
フランスの女性が、結婚・出産という人生の大事業を遂げながらも、それを理由に仕事を辞めないのは、そういった環境と意識も大きく影響していると思う。
経済的、社会的理由から、女性は基本的に働くことが前提となっている以上、少子化対策もそんな女性達に対する深い配慮なしには成り立たない。
妊娠・出産が一切キャリア上のハンディにならないという保障がない限り、女性は安心して子供を作れないからだ。
そこでフランスはこの点を重視し、出産・子育てをしながらも女性が仕事を続けていけるように、とても充実したシステムを用意している。
(つづきます)
2008年04月17日


